歯科コラム

骨移植や骨造成不要!患者の負担を最小限に抑えたオールオン4

2018年01月10日 (水)
「インプラント治療」では、歯茎を切開したり骨に穴を開ける手術を行います。もし、多くの歯をインプラントで補う場合、それだけ手術による負担は大きくなります。多くの歯を、できるだけ少ない手術負担でインプラント治療できるとすればありがたいものです。そこで、低負担で多くの歯をインプラントで補うことができる「オールオン4」の魅力について解説します。

オールオン4とは?

オールオン4とは?
オールオン4は、インプラント治療の一種です。骨に穴を開けてインプラントを埋入し、顎骨と結合させてこれを土台にすることで天然歯に近い使い心地を実現しています。オールオン4は、多くの歯を補う際に必要とするインプラントの本数を最小限に抑えています。
通常、1本の歯を補うのに1本のインプラントを顎骨に埋め込みます。この作業には「歯茎を切開する」「顎骨にインプラント用の穴を空けて埋め込む」「歯茎を縫合する」「しばらくしてから再び歯茎を切開してインプラントの頭部を露出させる」といった内容が含まれます。2本であればそれを2本分、3本であれば3本分の手術を、というようにインプラントの本数が増えるごとに手術の負担は大きくなります。
もし、全ての歯をインプラントで補うとしたら、20本以上のインプラント手術を必要とします。患者さんには相当な負担がかかることでしょう。オールオン4は、そうした問題を解消しています。
上下どちらか、あるいは両方の歯を全てインプラントにする場合、必要になるインプラント本数は上下片方で4~6本になります。人工歯肉を含んだ上部構造物を、4~6本のインプラントで支えるという仕組みになっています。本来であれば歯の本数だけインプラントを必要とするところを、バランスを考慮することで最低限の本数で支えられるようにしたのです。

総入れ歯と比較したオールオン4のメリット

似たような構図に「総入れ歯」があります。オールオン4が確立する以前は、全ての歯を人工歯に置き換える方法といえば総入れ歯が主流でした。しかし総入れ歯は食事や発音における違和感が大きく、日常生活において外れてしまうなどのリスク・デメリットが生じてしまいます。
オールオン4はインプラントによる安定感が大きなメリットとなります。顎骨に埋め込んだインプラントが人工歯をしっかりと固定して支えてくれるので、天然歯に近い感覚で食事や会話を楽しむことができます。簡単に取り外せるものではないため、勝手に外れてしまうということもありません。

オールオン4は骨移植・骨造成の必要がない

インプラントにおいては、患者さんの骨の量や質が大きく関わることになります。インプラントをしっかりと固定できるだけの骨の量が必要であり、足りない場合は部位や骨の量に応じて「骨移植」や「骨造成」が必要になります。これも手術となるため、患者さんへの負担が大きくなります。
しかし、昨今では骨移植等による患者さんの負担増を考慮して、骨移植を必要としないインプラントの方法が開発されています。その一つがオールオン4なのです。オールオン4ではワンピース型のパーツを装着します。人工歯肉も再現されていることにより、骨移植を必要とせずに十分な強度を確保できるのです。

日帰り可能、すぐに日常生活に

日帰り可能、すぐに日常生活に
すべての歯を人工歯に置き換える、そんな手術となればかなり大掛かりで時間もかかるものだと思われるかもしれません。しかし、オールオン4の手術は日帰り可能な治療内容となっています。入院不要なので、忙しい人でも気軽に治療を受けられる内容となっています。
また、手術後には「仮歯」を装着することが可能です。最終的に装着する上部構造物と比較するとそこまで品質は良くないのですが、見た目は問題ありませんし、いくつか注意すれば普段通りの食事や会話も十分に楽しむことができます。

オールオン4のデメリット

さまざまな魅力を持つオールオン4ですが、もちろんデメリットもあります。デメリットについてもきちんと理解した上で利用するようにしてください。
まずは「利用できない人もいる」ということです。オールオン4に限った話ではありませんが、患者さんの状態によってはオールオン4を利用出来ない可能性もあります。病気や骨の状態など、どうしても改善・回避できない問題がある場合は諦めるしかありません。
次に「医師の技量が問われる」ということです。オールオン4は高い治療技術と経験が問われるため、技量の乏しい歯科医師だと手術後に何らかのトラブルが発生する可能性もあります。ネットで調べる等して、オールオン4やインプラントに強い歯医者を探してください。
他にも、オールオン4は「保険適用外なので費用がかさむ」「負担が少ないとは言え手術は必要である」といったデメリットがあります。オールオン4の魅力を十分に体感するためには、起こり得るデメリットについてもきちんと理解することが必要です。