歯科コラム

インプラントの1回法と2回法とは?違いは?

2018年09月16日 (日)
インプラント治療には、必ず外科手術が伴います。人工歯根であるインプラント体を埋め込むためのインプラントオペです。この手術は、大きく「1回法」と「2回法」の2つに分けることができるのをご存知でしょうか。こういった言葉は何となく耳にしたことがあるかと思いますが、実際どのような違いがあるのか気になりますよね。ここではそんなインプラントオペの「1回法」と「2回法」について詳しく解説します。

インプラントの1回法とは?

インプラントの1回法とは?
インプラントオペの1回法とは、文字通り手術を1回のみ行う術式です。インプラントオペは、一般歯科の治療と異なり、身体への侵襲が大きい外科処置となるため、1回で済むという点では、患者さんにとって非常にメリットの大きい術式といえます。また、顎の骨とインプラント体が結合するまでの期間が比較的短いため、自ずと治療期間も短くなるという利点が挙げられます。ただし、インプラントオペの1回法は誰にでも適用できるというわけではありません。なぜなら、その術式の特性上、顎の骨がしっかりとしていなければならないからです。これはインプラントオペの1回法の手順を把握すると、理解しやすいかと思います。

インプラントオペの1回法では、まず顎の骨にインプラント体を埋め込みます。さらに、インプラント体と上部構造をつなぐパーツであるアバットメントも同時に設置してしまいます。その結果、手術の後はアバットメントが口腔内に露出した状態で歯茎が縫合されます。ここで、条件が整っていれば、即時荷重と呼ばれる処置を施します。即時荷重とは、インプラント体とアバットメントを装着した時点で、すぐに仮歯などの上部構造を装着する方法です。そのため、こういったケースではインプラントオペの当日からインプラントで噛めるようになるのです。ただ、こういった術式を適用するには、やはり顎の骨がしっかりとしていなければいけません。

インプラントの2回法とは?

インプラントオペの2回法は、これまた文字通り2回の手術を行う術式です。1回目の手術では、インプラント体のみを顎の骨に埋め込んで終了します。ですから、手術が終わった後は口腔内に露出しているパーツは存在していません。その後、数ヵ月間かけて顎の骨とインプラント体が結合するのを待ち、いよいよ2回目の手術です。2回目の手術では、再び歯茎を切開してアバットメントを装着しますので、患者さんの体にかかる負担は1回法の2倍となる点がデメリットといえます。

その後の流れは、1回法のインプラント治療とほぼ同じですが、結果として治療期間は長くなります。とはいえ、インプラントの1回法や即時荷重が適用できるほど、骨質が良い患者さんも沢山いらっしゃるわけではありませんので、どちらかというと、2回法の術式の方が標準的とお考えください。

1回法と2回法の違いについて

1回法と2回法の違いについて
インプラントオペの1回法と2回法の最も大きな違いは、手術の回数です。1回法は1回、2回法は2回のインプラントオペで治療が進められていきます。その回数の違いによって、さらに両者の違いが細かく見えてきます。

まず、治療期間については、当然のことながら2回法の方が長くなります。また、患者さんの身体にかかる負担も2回法の方が大きくなります。さらに、治療期間中の審美性や機能性は、間違いなく1回法の方が優れています。なぜなら、1回法であれば歯が欠損している期間が短く、場合によってはインプラントオペ当日から仮歯などを装着できるからです。このように、インプラントオペの1回法と2回法を比較すると、ほとんどの点で1回法が優れているといえますが、実際どちらを選択するかというのは、そう単純な話ではありません。

どっちを選べばいいの?

さて、インプラントオペにおいて1回法と2回法のどちらを選ぶかについては、担当の歯科医師としっかり相談した上で決めましょう。もちろん、顎の骨の状態が良好で、全く問題なく1回法を選べるのであれば、選択する価値はありません。ただし、1回法にもデメリットはあって、治療期間を短くできる分、インプラントと骨との結合が不安定になるケースもあり得るのです。その点、2回法であれば、時間をかけてインプラント体と骨とを結合させますので、その後のトラブルが少ないというメリットがあります。そういった双方のメリット・デメリットを勘案した上で、最適といえる術式を歯医者と一緒に考えることをおすすめします。

まとめ

このように、インプラントオペには1回法と2回法の2種類があり、それぞれ特性が異なります。ですので、必ずしも手術が1回で済む1回法が最良というわけではありませんので、患者さん個々人の状態に合った術式を選択することが大切です。そのため、カウンセリングの段階で歯医者としっかりとした話し合いを行っておくことが重要といえるでしょう。これはインプラント治療の予後にも関わる大切なポイントなので重要視しておいてください。