歯科コラム

残存歯が不健康なら抜歯してのオールオン4がおすすめ!

2018年09月2日 (日)
インプラント治療の一種であるオールオン4は、すべての歯を失った症例に適用される治療法です。ですから、インプラント体を埋入する時点では、お口の歯が1本も存在していません。けれども、初診の段階ですべての歯を失っている必要はないのです。つまり今現在、残存歯が存在していても、抜歯してインプラント治療に切り替えた方が良いケースでは、オールオン4がおすすめといえます。ここではそんな残存歯が存在しているケースにおける、オールオン4治療について詳しく解説します。

オールオン4の一般的な適用例

オールオン4の一般的な適用例
オールオン4は、4つのインプラントを顎の骨に埋め込んで、12本の人工歯からなる上部構造を装着するインプラント治療です。そのため、一般的には歯が1本も残っていない患者さんに対して適用されます。例えば、総入れ歯を今現在使用している人で、もう少し適合性の高い補綴装置がほしい、という方にはオールオン4が最適です。なぜなら、もうすでに口腔内には歯が残っておらず、そのままオールオン4の治療へと移行することができます。もちろん、通常のインプラント治療と同様、カウンセリングから始まり、精密検査などは必須となっております。

不健康な残存歯を抜歯する症例

初診の段階で患者さまのお口の中に、複数の歯が残存していたとしても、重度の虫歯にかかっているようなケースでは、無理に残してその他の補綴治療を行うのも賢明ではありません。今現在、重度の虫歯にかかっているということは、そもそも清掃性が低い部位ですし、そんな歯をブリッジや入れ歯の支台歯として活用しても、近い将来、トラブルを招くリスクが非常に高いからです。そうした残存歯に対しては、抜歯を行い歯が1本もない状態である無歯顎にした上で、オールオン4を適用することが多々あります。

これが虫歯ではなく、歯周病にかかっている歯であっても、同様に抜歯を行ってオールオン4を適用することがあります。重度の歯周病にかかっている歯というのは、グラグラと動揺、やがては抜け落ちてしまいます。また、そうした動揺の激しい歯を支台歯とすることは難しく、そもそも入れ歯治療が困難なケースが多いのです。ただし、歯周病というのは、インプラントの埋入オペを伴うオールオン4にとって非常に邪魔な因子となりますので、抜歯後そのまま治療を開始することはできません。それが重度の歯周病であれば尚更です。ですから、そういったケースではまず歯周病の治療をしっかりと行い、再発のおそれがなくなった時点から、オールオン4の治療へと移行していくこととなります。

部分入れ歯の範囲が広くなってきた症例

部分入れ歯の範囲が広くなってきた症例
部分入れ歯は、非常に適用範囲の広い補綴治療で、歯を1本失った症例から、複数本失った症例まで製作することができます。装置の設計も患者さんの歯列の状態に合わせてカスタマイズすることができ、多くの方が利用されていることでしょう。ただ、あまりにも喪失歯の数が増えてくると、部分入れ歯では支えきれなくなることがあります。つまり、入れ歯を支える支台歯である残存歯が少なくなると、装着感や機能性も低下していってしまうのです。そういったケースでも、残存歯を抜歯してオールオン4に切り替えるという選択肢も考えられます。欠損歯が多くなった部分入れ歯は、適合性などの点で問題が大きくなりますので、残存歯を抜歯してオールオン4に切り替えることは賢明な選択といえます。

残せる歯は残すのが原則

残存歯が不健康な場合は、抜歯をしてオールオン4にするのがおすすめですが、あくまでそれは抜歯に値するほど不健康であることが前提です。軽症や中等度の虫歯にかかっていたり、まだ治療を施すことで改善が見込める歯周病であったりする場合は、まず保存的な治療を選択することが大切です。歯は一度抜歯してしまうと、もう二度と戻ってきませんので、慎重に検討する必要があります。

また、残存歯が不健康であるということは、今現在も口腔内は不衛生であるため、普段のオーラルケアに問題がある可能性が高いです。あるいは、食事や喫煙などの生活習慣に問題がある可能性もあります。こういったリスク因子を抱えたまま、オールオン4の治療に移行するのは危険ですので、まずはそれらのリスク因子を取り除く必要があります。この点については、歯科医院でカウンセリングを受け、歯医者や歯科衛生士のアドバイスを聞くようにしてみてください。

まとめ

このように、残った歯が少なく、なお且つ重度の歯周病や虫歯にかかっているようなケースでは、抜歯をしてオールオン4に切り替えることもひとつの選択肢といえます。とくに、部分入れ歯の範囲が広くなっていて、様々な不自由を感じている患者さんにとっては、インプラント治療の一種であるオールオン4はおすすめです。ですから、気になる方はまず歯科医院を受診して、歯医者にオールオン4の治療を相談してみてください。歯科医院でカウンセリングを受けることによって、そのまま歯を残した方が良いのか、あるいはオールオン4に切り替えた方が良いのかが明確になります。