歯科コラム

歯周病の人は注意!予防したいインプラント周囲炎の症状

2018年06月9日 (土)
インプラント周囲炎とは、簡単にいうと「インプラントの歯周病」のことです。「歯周病」は聞いたことがあるのはないでしょうか。歯を失う原因の多くは、虫歯とこの「歯周病」だと言われています。40代以上になると男女ともに歯を失う原因の第1位が、歯周病という結果になります。また、成人の80パーセント前後の人が歯周病になっているのをご存知ですか?歯周病は自覚症状がなく進行していくので、異変を感じた時にはかなり悪化しているということもあります。
サイレント・ディジーズ(静かな病気)とも呼ばれる恐ろしい歯周病ですが、インプラント治療後にもなる危険性があるのです!

もしかしたら…予備軍かも?!

もしかしたら…予備軍かも?!
インプラントは人工の歯なので、虫歯になることはありません。しかし、歯周病にはなることがあります。ある調査によると、インプラント治療をおこなって3年以上たった場合、インプラント周囲炎になったという人は9,7パーセント、予備軍とされる人の割合は43パーセントという結果になりました。この数字を見ると、割合の多さに驚くかもしれませんが、インプラント周囲炎は、歯周病と同様に予防することもできますし、予備軍の段階(インプラントとその周りの粘膜に炎症が起きている状態:インプラント周囲粘膜炎)では、回復させることもできます。しかし、メンテナンスを怠って症状がどんどん進行してしまうと、インプラントがぐらついて脱落してしまうこともあるのです。

インプラント周囲炎の症状と原因

こんな症状はありませんか?インプラント周囲炎になると以下のような症状が現れます。チェックしてみましょう!

●歯茎やインプラントの周りが赤くなったり、腫れている
●歯磨きの際に出血することがある
●口臭がする
●膿が出る
●インプラントと歯茎の間の溝が深くなる
●ドーンとするような痛みがある

1つでも当てはまることがあれば、歯医者さんにみてもらったほうが安心です。定期的にメンテナンスをうけて、早期発見することが重要でしょう。
インプラント周囲炎になってしまう主な原因は、歯周病菌に感染してしまうことです。毎日自分で行うセルフケアが不十分であったり、歯医者さんによるメンテナンスをうけないことで歯垢がたまり、細菌が繁殖してしまうのです。また、喫煙やストレスなどの生活習慣も関係していて、これらは細菌の感染リスクを高めることにもなります。

予防のポイント!

予防のポイント!
インプラント周囲炎は日常生活や習慣に気をつけるだけで予防することができます。

■歯垢を残さない
まずは、原因となる細菌を繁殖させないことが第一です。歯垢を残さないために、毎日の歯磨きを正しく丁寧に行うようにしましょう。インプラント治療後は歯並びなどが変化している場合もありますので、改めてブラッシングの指導を受けると良いですね。

■ダラダラ食べない
口の中にいつまでも食べ物が入っている状態が続くと細菌が繁殖しやすくなり、インプラント周囲炎を引き起こしやすくなります。仕事をしながらダラダラ食べる癖があるような場合は気を付けましょう。

■よく噛んで食べる
噛む回数が多いと、唾液がたくさん分泌されます。唾液には、口内の汚れを洗い流す役割もあるので食事をよく噛むようにすると、インプラント周囲炎の予防にもつながります。

■禁煙する
喫煙は全身の健康に影響を及ぼしますが、歯周病もその1つです。喫煙によって歯周病を促進させる恐れがあります。

■定期検診を受ける
歯医者さんによる定期検診では、口内が汚れていないか、噛み合わせやインプラントの状態は異常がないかを確認します。また、目では見えない骨の状態はレントゲンをとって確認し、何か不具合があれば調整や処置を行います。
毎日丁寧に歯磨きをしていても、磨きにくい箇所には歯石がついてしまいます。歯石はとても硬いので自力で落とすことはできません。そのため、歯医者さんで専門のクリーニングを受ける必要があります。このような内容の定期検診を数ヶ月に1回きちんと受けていれば、重症化してしまうリスクは少なくなります。

継続したメンテナンスが重要

インプラント周囲炎は、歯周病と同様に放置していても自然に治ることはありません。炎症がひどくなってしまうとせっかく手術したインプラントを抜き取らなければならなくなったり、ぐらついて取れてしまうこともあります。お金と時間をかけて手にいれたインプラントがこのような結果になってしまうことは避けたいものでしょう。
万が一、インプラント周囲炎になってしまった場合は、早急に適切な処置を受けなければなりません。軽度の場合は口内の洗浄や消毒で対応できますが、症状が進行している場合は、歯肉を切開して汚れを取り除かなければならなくなります。そうなれば、金銭的な負担だけでなく、体にも大きな負担がかかってしまいます。
どの点においても、インプラント周囲炎にならないことが一番です。治療が無事に終わったからもう安心、ということではなく継続してメンテナンスをおこなっていくことが大切です。