歯科コラム

オールオン4の手術前後の過ごし方に注意しましょう

2018年05月10日 (木)
歯が抜けてしまった場合の治療の選択として、インプラントがあります。インプラントは、天然の歯と同じくらい噛む力があるので、今後も食べることを楽しめます。入れ歯のように食事中やくしゃみをした瞬間に外れる心配もありません。見た目も美しく、審美性に優れています。上顎や下顎の歯が全て抜けてしまった場合は、インプラントの中でもオールオン4を選ぶことがあります。通常のインプラントであれば、1本の人工歯につき1本の人工歯根を埋め込みますが、オールオン4は4本の人工歯根で10~12本の歯を支える方法です。人工歯根をすべて入れるよりは体への負担が少なく、費用も抑えられるというメリットがあります。
オールオン4の手術をする時には、手術の前後にどのような点を注意したらいいのか紹介したします。

手術直前までにすること

手術直前までにすること
これまで何度かの通院をしてきましたよね。歯が抜けた経緯の聞き取り、他の病院で治療をしている病気の状況、レントゲンやCTエックス線検査、主治医からの説明、インプラントの契約、歯や歯周の治療など様々なことをしてきたことでしょう。
いよいよ手術日が決まり、近づいてきました。
手術日の予約は、手術後に忙しく無い日、飲酒の予定が無い日に設定しましょう。
手術の前日は、歯医者から指示がある場合は、しっかりと従うようにします。手術前日は緊張することもあるので、なるべく早めに就寝して体力を温存してください。
また、手術直前の食事は軽めに済ませ、水分も控えめにしてください。術前に薬を投与された時は、必ず服用するようにします。手術当日は体を締め付けない楽な服装を選んでリラックスして行きましょう。手術直後は麻酔が効いているのでボッーとすることがあります。自動車の運転は控えた方が良いので、手術の日は車での通院は避けるようにします。歯科医院に到着したら、トイレに行っておきましょう。

手術当日に注意すること

手術が終わると30分程度休みます。麻酔などの鎮静が覚めるのを待つためです。
手術後は、激しい運動や力仕事でなければ仕事をすることができます。
ですが、熱いお風呂には入れません。熱いお風呂に入ると血行が良くなり、傷口から出血することがあるからです。できたら、手術前にシャワーなどで軽く入浴を済ませておくと良いでしょう。
手術後は、麻酔が覚めて口の中の感覚が戻るまでに時間がかかります。
飲食は麻酔が切れてから行うようにしてください。
そうしないと、口に中の物をこぼしてしまう、口の中を噛んで出血してしまう、熱いもの食べてヤケドをすることがあるからです。
手術後は、顔が腫れる、頬が青くなることがあります。特に腫れが強くでるのは、手術後の24~48時間経過した頃です。
保冷剤や氷を使って冷やすと、冷やしすぎることがあります。冷やしすぎると血流が悪くなってしまうので、水で濡らしたタオルを優しく当てる程度にとどめてください。

術後の食事について

術後の食事について
オールオン4の手術は、人工歯根を埋め込んでその日に仮歯を入れます。基本的にはその日から噛むことができる治療法です。とはいえ、手術で切開をして縫い合わせています。極度に硬い物を食べては、傷がふさがるまでに負担をかけてしまうことになります。
オールオン4の術後2、3日は積極的にやわらかい食事を摂るようにしましょう。
具体的には、スープやおかゆ、やわらかく煮込んだうどんなどです。デザートにはヨーグルトやゼリーを選べば、あまり噛まなくても食べられますよね。やわらかい物から少しずつ固形物へと慣らしていってください。
控えておきたい食べ物は、硬い物、刺激物、歯にくっつきやすい物です。
せんべいやスルメ、香辛料が強い物、アメやガムは避けた方が良いでしょう。
口の中を刺激してしまうと、傷口から出血する、腫れてくる、痛みが出てきてしまうからです。
アルコールが好きな人は飲みたくなるのは分かりますが、傷口に炎症が起きたり、出血したりする可能性があります。オールオン4の術後1週間くらいは様子を見て控えていた方が安全といえるのです。

タバコにも注意!

タバコには、ニコチンやタール以外にも約4,000種類の成分が含まれています。その成分の何がどのように作用するかは実は詳しく知られていません。しかし、よく分からない成分を口に入れていることになるのです。
はっきりしているのは、タバコを吸うと毛細血管が収縮して血流が悪くなってしまうことです。ニコチンの色素が沈着して、歯肉も黒っぽく変色してきます。タバコを1本吸うと、レモン1個分のビタミンCが体から失われてしまうといわれているのです。タバコを吸うと降圧剤などの一部の薬の効きが悪くなったり、逆に効きすぎてしまったりするものもあります。長年タバコを吸っていると、ニコチンやタールの影響で口の粘膜が過敏になります。そのため、歯ブラシを口の奥に入れると反射的に吐き出したくなり、歯磨きがしっかりできなくなることもあるのです。
ですので、せっかくインプラントの手術をしたのに、タバコのせいで血流が悪くなり、インプラントに支障が出ては大変です。インプラントは治療後の歯磨きなどのメンテナンスも大切にしましょう。
タバコは、歯にも歯ぐきにも悪影響を与えるものです。この機会に禁煙に踏み切ってみてはいかがでしょうか。