歯科コラム

歯がほとんどない!総入れ歯とオールオン4どっちがおすすめ?

2018年04月1日 (日)
事故や病気などで歯がほとんどなくなってしまった場合、選択肢として挙がってくるのは、総入れ歯かインプラント治療のひとつであるオールオン4という場合が多いです。施術の際に手術が必要になるかどうか、施術後の手入れはどうなのか、気になる費用はどれくらいのものか、どちらかに決めるにもいろいろな検討要素があります。どの部分を重要視するかで適したものは違ってきますから、今回は総入れ歯とオールオン4、いったいどちらがおすすめなのか、比較検討していきたいと思います。

総入れ歯とオールオン4について

総入れ歯とオールオン4について
それぞれを比較検討する前に、まずは総入れ歯とオールオン4がどのようなものかを理解しましょう。

■総入れ歯
歯が全くない人に向けて、歯茎を覆うように設計してつくられた入れ歯のことです。総入れ歯には大きく分けて2種類あり、歯肉に接する部分(床)が金属でつくられた金属床と、レジンでつくられたレジン床があります。金属床は強度を保ちつつも薄く製作できるという利点あり、レジン床は柔軟性があり、顎の形の変化に対応しやすいという利点があります。

■オールオン4
インプラント治療のひとつで、歯が全くない状態の顎の骨に4本の人工歯根(インプラント)を埋め込み、固定式の人工歯を支えるという方法です。骨に埋め込む人工歯根は、多くがチタンやチタン合金でつくられています。上顎と下顎両方の施術でも、計8本のインプラントを埋め込むだけできれいな歯がそろいます。

費用が抑えられるのはどっち?

総入れ歯は保険診療で製作可能で、初診から入れ歯の調整まで、カウンセリングや噛み合わせの調整などにも保険が適用されます。一方で、オールオン4の治療は自由診療となるため、全額自己負担となります。また、総入れ歯とは違い外科手術が必要なので、手術費用がかかり、費用は決して安くはありません。

取り外しが可能かどうか

ご存知の通り、総入れ歯は自分で着脱が可能です。簡単に取り外しが可能なので、就寝前など歯が必要のないときは装着していなくても問題ありません。また、万が一破損してしまったり合わなくなってしまったとしても、修理をすることができます。
オールオン4の場合は、人工歯根を顎の骨に埋め込み、そこに人工歯をとりつけるため、自身で取り外すことはできません。万が一破損してしまった場合は、すぐに治療が必要で手術となる場合もあります。

安定性があるのはどっち?

安定性があるのはどっち?
取り外しができる総入れ歯ですが、その分安定性はオールオン4に劣ります。日常生活を送る中で入れ歯がずれることにストレスを感じる方もいらっしゃいます。また、食事の際に入れ歯がずれないか気になったり、食べ物をしっかりと噛めずに飲み込んでしまい、胃に負担をかけてしまうということもあります。その点オールオン4は顎の骨でしっかりと固定されており、ずれることはほとんどありません。噛む力も天然歯にそれほど劣らず、しっかり噛みしめて美味しく食事をすることが可能です。

見た目の美しさ(審美性)はどうか

見た目の美しさは、オールオン4に軍配があがります。オールオン4などのインプラント治療では人工歯根を埋め込みしっかりと人工歯を固定できるので、天然歯のように美しい歯を手に入れることが可能です。総入れ歯はというと、金具を使用するため少々不自然な仕上がりになり、天然歯と比べると見劣りしてしまいます。

施術後に早く噛めるのはどっち?

総入れ歯にするには、歯茎を型どってから入れ歯を作成し完成するまでに1~2か月ほどの期間を要します。以前に使用していた入れ歯があれば完成までそちらを使用することができますが、ない場合は歯がない状態で過ごさなくてはいけません。オールオン4の場合は、早ければ手術の当日に仮歯を装着することが可能で、柔らかい食べ物であればその日から食事を楽しむことができる場合もあります。

総入れ歯とオールオン4のメリット比較

総入れ歯とオールオン4のメリット比較
総入れ歯とオールオン4のメリットを一覧で見てみましょう。

■総入れ歯
・保険が適用できるため費用が抑えられる
・手術をする必要がないので、治療にかかるリスクや失敗の心配がない
・不要な時は簡単に取り外すことができる
・破損しても修理ができる

■オールオン4
・骨から固定されているので、安定性が高くかたいものでもしっかり噛むことができる
・天然歯と変わりなく、ストレスなく日常生活を送ることができる
・見た目の美しさ(審美性)が高く、天然歯と見間違うほど自然である

総入れ歯とオールオン4、どちらにするか

費用をできる限り抑え、取り外しが可能なものなら総入れ歯、少々高額でも良いから見た目の美しさを重視したいのであればオールオン4と、求めるものでおすすめの方法は異なります。自分が何を優先するのか、日常生活などを振り返って検討する必要があります。
また、今回ご紹介したそれぞれの特徴やメリット以外にも、健康状態や口内状態によって治療が可能であるかそうでないかが分かれます。総入れ歯とオールオン4どちらにするか迷うという方も、どちらか一方を希望される方も、歯医者さんでしっかりと相談し医師の意見も取り入れることが大切です。メリットの比較で一方の方法を希望したとしても、健康状態やその他の条件で治療自体が難しい場合があります。ご自身にとって最適な選択になるように、歯医者さんでのカウンセリングを受け、時間をかけてじっくりと検討するようにしましょう。