歯科コラム

オールオン4の寿命を長持ちさせるために必要なメンテナンス

2018年06月16日 (土)
オールオン4治療によってせっかく手に入れた「第2の自分歯」。誰もが長持ちさせたいと思っているのではないでしょうか。オールオン4の寿命は、一概に何年ということはできません。なぜかというと、治療後のメンテナンスによって差が出てくるからです。しっかりとお手入れしていれば多くの方は10年以上使い続けることができますが、手を抜いてしまうとほんの数年間で使えなくなってしまいます。顎の骨に埋め込むネジのようなインプラントの部分は生涯使用することは可能ですが、もしインプラント周囲炎になってしまえば、数年で抜け落ちてしまうことも避けられなくなってしまいます。では、長持ちさせるためにはどのようなメンテナンスを行えばよいのでしょうか。

自分でケアする!

自分でケアする!
オールオン4を長持ちさせることができるかどうかは、治療後のメンテナンスが大きく関係してきます。毎日歯医者さんの手を借りるわけにはいかないので、自分で意識的にケアしていかなければなりません。ケアのポイントは、インプラントの大敵となる歯周病の予防です。歯医者さんでのメンテナンスは確実ですが、数ヶ月に1回の頻度です。それ以外の多くの時間は自分でケアしなければならないのです。「自分は歯医者さんみたいな知識もないし技術もないから心配だ…」と思うかもしれませんが、大丈夫です。オールオン4の治療完了後には、歯医者さんから今後のメンテナンスの方法について指導があります。その方法を継続して行うことでよい状態を保つことが出来ます。

■基本中の基本!歯磨き
口内ケアの基本の歯磨きですが、「自分は完璧に行っている!」と自信を持って答えられるでしょうか。ある調査では、「歯磨きに自信がある」と答えた人の中でも約8割の人に磨き残しが見られたそうです。この数字は自分が思っている以上に「磨けていない」ということですね。
オールオン4は全体がつながった歯型を歯茎の上に装着する仕組みになっているので、それぞれの歯の間よりも歯茎とインプラントを埋めている部分の隙間を意識しましょう。インプラントを支えている歯茎を健康に保てるように、丁寧な歯磨きを心がけ、フロスや歯間ブラシを併用して歯垢が残らないように気をつけてください。インプラント用のワンタフトブラシを使うこともオススメです。また、力をいれてゴシゴシと磨くことは避けましょう。インプラントは人工物なので傷がついてしまい、その傷が細菌の温床となってしまいます。

プロの目で異常をチェック

セルフケアとあわせて、定期検診をうけることも重要でしょう。定期検診の頻度は、かかりつけの歯医者さんに従って受けていれば問題ありませんが、3~6ヶ月に1度を目安にしておくと良いでしょう。また、定期検診のタイミングでなくても何か違和感を感じた場合は歯医者さんに診てもらいましょう。
歯医者さんでの定期検診では、以下のようなことについてチェックしメンテナンスを行います。

■人工歯部分のチェック
土台部分と人工歯の部分を外して、インプラント周囲炎になっていないか、インプラントに破損がないかなどの確認を行います。
インプラントが緩んでいる場合は、骨が溶け始めていることが原因となっていることがあります。そのような場合でも早期に発見することで適切な処置を行えば、インプラントを継続できる可能性が高くなります。

■磨き残しのチェック、ブラッシング指導
丁寧に磨いているつもりでも自分での歯磨きだけでは、完璧ではありません。磨き癖を確認して適切なアドバイスをうけましょう。

■噛み合わせのチェック
噛み合わせが悪いとインプラントにとって大きな負担となります。一定の歯に異常な力がかかっていると、骨吸収を早めてしまうことになりインプラントの失敗を招いてしまいます。

■レントゲンチェック
土台となる部分は目に見えないので、レントゲンを撮って状態の確認を行います。インプラントと骨がきちんと結合されていないと、ぐらつく原因になってしまいます。

■歯石除去
オールオン4も天然の歯と同じように歯石の除去や歯科専門器具を使ったクリーニング(PMTC)を行います。PMTCは、虫歯や歯周病に原因となる細菌を除去することができるのでインプラント周囲炎の予防につながります。

セルフケア、定期検診どちらも重要

セルフケア、定期検診どちらも重要
自分で行うケアだけでは、磨き残しが蓄積してしまったり、インプラントの破損など目では確認できない部分の異常に気がつきにくいものです。一方、定期的に歯医者さんに診てもらうからと言って、毎日のケアに手を抜いていては取り返しのつかないことになっているかもしれません。インプラントは天然の歯以上に歯周病になる危険性が高いです。インプラント周囲炎は通常の歯周病よりも進行速度が10倍も早いといわれています。歯周病は自覚症状がほとんどなく気がつきにくいので、意識を高くもって早期発見することが重要です。オールオン4の寿命を延ばすか、縮めてしまうかは自分のケア次第なのです。